
宮本輝さんの最新刊。終戦後の大阪 十三(じゅうそう)が舞台。
戦争で親を亡くしてしまった子供達、また様々な理由から幼いながら一人にさせられてしまった子供達、そして彼等を懸命に育てようとする二人の青年。戦争でたくさんの男が死んだという事は、確かに妻や子供が残される、そしてその時代に子供を育てるだけの仕事や蓄えがある人がそんなにいるはずもなく、物凄い数の戦争孤児がうまれてしまった事だろう。そしてその状況を想像出来るかと言われると、正直想像出来ない。きっと頭で作るイメージと現実はこうだったというのを知ると愕然とするはずだから。
書かれているテーマはひどく重くのしかかるんだけど、辛いだけじゃない、楽しい瞬間には生きる力の瑞々しさが溢れている文章で、また色々と教えてくれる本だった。
輝さんの本でこれまでも繰り返し書かれていたか、もしくは根底に常に忍ばせていたのかもしれないのが下の今回の小説の一文、バチンと心を揺さぶられるような一言
「ぼくは高校生のときに、人間は何のために生まれてきたのかってパパちゃんに訊いたことがあんねん」と言った。
即答できるような質問ではないことくらいはわかる年齢に達していたし、明確に答えられるものでもないと承知していたが、パパちゃんは即答し、かつ断言したのだ。自分と縁する人たちに歓びや幸福をもたらすために生まれてきたのだ、と。


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